公開時に一度プレイさせていただきまして、「これはすごい!」と思ってずっと保存しておき、雪がよく降るようになったので思い出してふたたびプレイ。やはり「これはすごい!」と、こんどはレビューせずにいられないほどだったので、今さらですが書かせていただきます。
表題作「自分殺し」。これは「父」と「双子」の片方が死ぬという短い話で、「物語る」というしかけを使ったじつに良くできたものでした。
作者様HPによると登場人物の二人は文学部の学生であるという脳内設定があるみたいで、となると近・現代文学における大きなテーマのひとつである「父と子」が意識されていることでしょうし、「双子」についても明らかに文学的アプローチをかましている、じつに良いです。
短篇として解釈のための情報をうまくセーブしていて、たとえばポーの「ウィリアム・ウィルソン」やつげ義春の「ゲンセンカン主人」みたいなドッペルゲンガーもの(後者はちょっとちがうけど)が好きな人は楽しめるでしょう。良く出来た短篇作品がそうであるように、「自分殺し」もまたいろんな角度から読むことができます。
もう一作は優しい。「あなた」が出てくるのがいいですね。
筋が薄く思えるのは純文学によくあることだと思いますが、いつおうゲームとして公開されているので、エンタメ要素を増やすとか、ゲームであることを利用したりしてみると、よりサウンドノベルとしての完成度が上がると思います。
次回作もかなり期待してます!
- 1
あなたにオススメのゲーム
フリーゲームイベント開催中!
サポーターのオススメゲーム
-
ツクモノガタリ特別編~雉の鳴く夜~
WH
いつもと違う視点で始まるツクモノガタリ
-
あんたが死んでも私は元気。
ととと(永久恋愛)
好きだった彼が死んだ失恋話千文字掌編
-
Oddface Evolve Vol.1「プロジェクト・リターナー」
十街道
行動ごとに2分ずつ経過する連載型SF探索ADV
-
ジサツ志願者同盟
mint wings
人の生死を描いた 切ない系ビジュアルノベル(BL)
-
夏山夏子の夏休み
ニックマン
5日間でみんなと仲良くなろう!
-
シュランケンヘッド
ずう
呪われた干し首が引き起こす一夜の恐怖体験