J-tr

全ては現世にいて欲しいがために、二転三転する二人の世界。

Ver1.2
クリア時間 37分(ED3)
      +51分(ED1まで)
      +6分(IF)
      +28分(ED2,CGコンプリートまで)

四季聡と美凪小太郎はある日、誰よりも早く登校する必要があった。
二人は十年来の幼なじみで聡は小太郎に振り回されながらも
彼の話につきあっていた。
――小太郎が眠りについて聡は心の中で安堵する。
今の小太郎は他の誰にも認識できない、死者なのだ。
でも小太郎は自分が生者だと思い込んでいる――

少年が幼なじみに自らの死を自覚させないように一日を過ごすADV。

本作の最大の特徴は、全貌がなかなか掴めないことで
物語全体に霧がかかっている印象でそれが少しずつ小出しに情報が
出てくることで状況が明らかになっていく。
本作は意味深な一文から始まり、
そこから彼らのやりとりが続く。この段階ではまだ
登校中の男子の日常もののような印象を受けるのだが
学校について、小太郎が眠ったときに
小太郎が死者ということが聡の地の文から
プレイヤーにようやく伝わる。
この構成のため、展開も本作に対する印象も二転三転する。
ある程度、話の展開を予想しながら読み進めると
予想を裏切られることが多くて中々楽しめるように思う。

また小太郎のキャラが非常に濃厚で
彼の初っ端のセリフを引用するだけでも
「あっはっは、朝!早すぎ!今何時?6時!
 いやあ、爽やかな朝だこと。絶好の勉強日和でなにより
 なわけねーよ!人は早起きして三文徳するより惰眠を貪る方が賢い!
 なぜなら三文じゃ焼き芋すら買えないから!
 いやしかし一文銭は逆に希少価値があるよね。
 収集家に売れば大儲け?収集家ってどうやって知り合うの?
 あっはっは、十面倒臭い!七面倒くさいじゃ足りない!
 タイミングイズマネー!
 結論、朝は寝るべきである」
これだけでも彼のテンションの高さ、波の変化が伝わるはずだ。
ノリツッコミから始まり、言葉遊びも含めながらも
次から次へと話をいろんな方向につなげていくボキャボラリーの広さ、
こんなに勢いを感じさせるキャラはなかなかいない。
しかも、本作はしっとりめのBGMが多い中で
彼のBGMだけ何か弾けているイメージもあって
初見のインパクトは抜群である。
聡が小太郎を自分の妄想ではなく、幽霊だと思えた理由として
挙げられた
「あの荒唐無稽かつ支離滅裂かつただ面倒な語り口を
僕が生み出せるとは思えない」という地の文があるが
この強烈かつ印象に残る語り口を生み出せる作者は
なかなかいないと思う。小太郎のセリフは
ユニークで彼のキャラを感じさせ、センスがある。
正にコメディリリーフなキャラであり、
こういうタイプのキャラはギャグ補正がかかって
普通なら死なないタイプである。
そして、こういう自由なタイプだからこそ
他の人と接触させないというのは難しく
聡もなかなか苦労する。
本作の序盤は小太郎に振り回される話なのだ。
初見だと途中あたりで小太郎は生きているのか死んでいるのか
だんだん分からなくなってくる人もいるのではないだろうか。
聡が彼に生きていてほしい気持ちにも共感するし
実はドッキリなんじゃないかとすら思うかもしれない。
小太郎のこのキャラは
本作のシナリオに大きな影響を与えた印象がある。

こんな小太郎の死を自覚させないよう、
ところどころの選択肢でエンディングが変わるのが
本作の分岐である。重要選択肢と大きく表示されるところで
分岐しそうな印象だが、それだけではなく
実際はそれ以外の通常選択肢でも選択によってポイントが加算されていて
このポイントの大小でエンド分岐する。
少なければED1、多ければED3、特定の値になるとED2である。
重要な選択肢を間違えればED3に向かう。
この重要な選択肢、本作の趣旨を考えれば正しい方は分かるのだが
本作の特徴と小太郎のキャラで、意外と惑わされるかもしれない。
ED2を見るには選択肢がかなり固定化されるため、
これは自力では厳しい印象である。

1周目の途中あたりで感じたこととして、本作のテーマは
死者の想いではなく、残された者が親しい者の死をどう受け止めるか
にある。問題なのは死者ではなく生者の方なのである。
家に帰るあたりから小太郎はもう自覚してるんだなという印象が
強くなる。いつまでも死が受け入れられないでいるのは
聡の方だと思い始めて、そうして
彼が死んだ踏切で本作はクライマックスを迎える。

※ネタバレ部分は割愛する。

部分的に小出しに情報が出て、二転三転と展開が変わり
全貌がなかなか掴めないドキドキ感があり
死を題材にしているため、切ない物語ではあるが
そこまで暗さや特に湿っぽさはなく
どこか前向きな希望を感じさせる雰囲気がある一作。、
友だちと学校を飛び出して遊んで回って、
日が暮れる頃に、今日も楽しかったみたいな
そういう雰囲気を感じたい人向きでもあると思う。

12345
No.49457 - 2019-10-03 21:12:13
ジケ

泣きました

素敵なゲームを作ってくれてありがとうございます!

12345
No.45611 - 2019-01-07 11:07:29
  • 1


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