文章力と描写力は確かですし、粗もなく密に丁寧に書かれた良作でした。
立ち絵はありませんが、登場人物たちが文章だけでしっかりと書き分けられていて生き生きとしています。

成人後の幼馴染、電話で連絡は取り合っていたけど直接は会っていなかった２人の再会――という微妙な距離感の描き方が見事です。
いわゆる幼馴染キャラのテンプレートというようなものを一切と言っていいほど用いずに、紛れもなく幼馴染ものとして完成されています。

ただ地の文を含めて台詞回しや展開がかなり中間小説的かつドラマ的なので、あんまりクサいのは苦手……という人には合わないのかもしれません。
正直自分自身がそのクチなので、読んでいる間はちょっとキツかったりもしました。

とはいえその辺りは読み手個々人の嗜好や性格のみに依存する部分ですので、作品の出来とは無関係でしょう。
裏を返せば、この雰囲気が好きな人にとってはたまらない作品ということにもなりますから。

“すれていない大人たち”による“素直な幼馴染恋愛もの”というだけでもかなり貴重な作品なので、
そういった作品を探していたという人は是非プレイしてみて下さい。

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成人して、主人公が外国に行って離れ離れになってからもずっと幼なじみで親しい二人を描いたノベル。大体学園ものでいつも一緒にいてーというのが王道な幼なじみ作品が多い中、こういう関係性を描いた作品は珍しい。以下ネタバレありな感想



安定性も信頼感もありながら恋人ではない二人は、大人ということもあってやり取りは非常に落ち着いていて甘酸っぱさとかそういうものはなく、培ってきた仲の良さを安心して眺められる感じです。

あの直球のがんばれ！にはキュンと来ました。試合後の主人公の合図も直球でいいですね。長年仲良くやって来た大人だから逆に照れもなく素直ってのがまだるっこしくなくて楽しいです。

ちょっと最後がサクッと終わって余韻に浸る間もなくタイトル画面行っちゃうのがあっさり感ありますが、終わり方も後味が良く、安心して読めて勧められる恋愛ものだと思います。幼なじみが好きならオススメ。

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幼なじみの関係性が素晴らしすぎます。
恵里香と修治の関係性がめちゃくちゃいい…………！！！！

前々から、「幼なじみという関係は、成人超えてからが本番なのでは？」と考えていたのですが、この作品がそれを証明してくれました。
お互い成人を超えた、大人の幼なじみのお話です。
幼なじみの二人の関係が、仲良しで、お互いがお互いを信頼してて、でも、胸の内では隠してたことがあって……
本当に距離感がたまらないんです。悶えます。悶えました。
尊すぎて語彙が全部溶けました。とにかく、幼なじみの男女が好きな人は今すぐやってくれ。マジで。プレイ時間は40分くらいだから。

キャラ絵ないし、UIもデフォルトで画面に味気はないですが、
その分文章に集中できていいと思います、というか、文章だけでここまで萌えさせられるのは本当にすごいよ……
幼なじみ二人の関係も素晴らしいですが、孝輔と夕菜ちゃんカップルの仲の良さも微笑ましく、ドイツの情景描写も読んでて楽しそうだなあと思いました。終盤の試合のシーンもドキドキが止まらなかったです。夏野さんの文章好き。

こんなに素晴らしいシナリオが埋もれているのは間違いなく見た目が鬼地味だからだと思います。
作者さんのブログ読みましたが、絵を導入してのリメイク、もしできるならやってほしいですね。
個人的には文章だけの方が脳内で自由に再生できるのでいいですけど、一人でも多くの人にプレイしてほしいですし。

まさしく埋もれた名作。
頼む！！　ちょっとでも気になった人は、是非やってくれ！！！！

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