A Glass of Water

BDbM

――社会を彷徨う、糸の切れた風船たちへ――

あきろう

メガネは心の一部です

淡い色遣いと筆致で描かれた、海外小説の趣があります。
ゆったりと大人びたメロディの中に、サンプリングの小気味よい音楽が
モラトリアムのどぎまぎした感じを掻き立てるようです。

舞台は現代のように見えて、しれっと異質な生態の生き物が現れたり
ペンギンだらけの街に迷い込んだり、ふとした瞬間に入り混じる虚構。
病める社会のカリカチュアともいうべき敵の姿に、現実に引き戻されては
独自フォントの不思議な言語を読み解くべく、思索の海を浮き沈み。
あちらこちらの世界に誘われて、行ったり来たりの面白さがあります。

戦闘については、時間がかかりがちな部分が目につきます。
ほぼすべての敵がユーより早く行動不能の状態異常を使ってくる上に
ユーの耐性が低いため、頻繁に足止めされることになります。
そのため、テンポの良さだけを求める人にはあまり合わない可能性もありますが
この点はストーリーとの結びつきにおいて重要なものともなっています。

主人公のユーについて、進むにつれて弱いという形容に反した印象を抱くはずです。
会話の端々から鋭い洞察力がうかがえるし、覚える攻撃技も強いし。
そんな確かな素質がありつつも、すぐに社会への恐怖に直面して動けなくなり
持ち前の能力をうまく活かせない現状、その映し鏡のような戦闘の中で
プレイヤーが同じ悩みを体験し、ユーに寄り添う形でともに歩んでいくわけです。

仲間が増えれば行動できない事態も相対的に減るという単純なことでも
ひとりじゃダメでもみんながいる、そんな心強さが一際まぶしく思えますし
ユー自身もレベルアップによって行動不能に陥ることが少なくなり
旅の中で進む道を見つけ出し、迷いが消えていく様子を強く感じさせます。

こうして傍で見守り続けた先のエンディングにはじんわりとした感動があります。
ロードムービーの名を冠する通り、列車に乗らずして線路を歩くような道のり。
快適志向とはまた違った、これもRPGならではの魅力といえます。

詰まりやすいポイントとして、ボス戦はユーの性質を抜きにしても難しめです。
新しい仲間のレベルを上げて特定の技を覚えさせることが攻略のカギとなります。
それに加えて長丁場となるため、十分なアイテムを用意することも大事です。

12345
No.66882 - 2023-10-28 13:34:14
310

フランス映画のようなゲーム

誰しも思い悩んだことが、少なからず一度はあるはず。
現代の多くの人にも通ずる、非常に共感性の高い題材を取り上げたストーリー。
さっくり終わるかと思ったら、思ったよりボリュームがあった。
戦闘は雑魚もボスも思ったより強いので、特に雑魚戦のテンポは悪くなる。
ただ、アイテムドロップが潤沢なので枯渇することはまず無い。
全体的にお洒落な街並みやキャラグラフィックで、音楽もChill系と雰囲気が抜群に良い。
これが処女作とは思えない作り込み。
人によって感受性は違うので、全ての人に合うかどうかは分からないが、“感じる”ゲームだと思う。
ゲーム終了後は、まるでフランス映画を観た後のような余韻を味わえる。

12345
No.66585 - 2023-09-30 20:23:30
  • 1


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