月夜の夜道・・・
少しネタバレ
夜中に女の子が変態に追いかけられて逃げまわる
鬼ごっこホラー
ではない。
想像していた内容とは違ったけど
怖いだけではなく話もしっかりしていて
面白かったです。
情緒をジェットコースターに乗せられる感覚
ネタバレを含みます。
作者サイト版とふりーむ版と両方プレイ。
ふりーむ版では公開のためか導入に若干の変更がある(記憶力が弱いので気付けなかった変更もあるように思う)。
特色はプレイヤーに優しいシステム、シナリオの構造・内容、台詞回し、キャラクターの心の機微の分かる描写。
システム面、ホラーではよくある逃げイベント一つとってもありがたい。
ミスをすると大概最初からやり直すことになることがままある(といっても、これはスリルや厳しさを楽しみたいプレイヤーにとっては美点だとは思う)が、すぐにちょうど良い所でやり直せる。
タイトルにも戻らず、立てたフラグもそのまま。操作は苦手だけど物語は見たい身としては本当にありがたかった。徒労感がない。
このゲームのポイントは物語にあると考えているので、それを見るプレイヤーに配慮した真摯な作りだと感じた。
シナリオの構造・内容について、個人的には作者サイト版がオススメなので、まずそちらに言及したい。
あの導入は物語の構造やテーマ(書き手が勝手に読み取ったものではあるが)上、必要なものだと思う。
ここから内容に言及するので、要らない人はここまででよいと思う。
作者サイト版ではJKではなく男を動かすことができる。そのため、「リョナ」的なものだと思いJkの苦しみ様などを楽しむ気持ちで遊び始めた(これがふりーむ版ではよくなかったのだろう)。
それから間もなく挟まれるバグのような描写、舞台が「いかがわしいことを目的とした仮想空間」であることを指摘しログアウトするように警告するギャル、ログアウトしようとして現れたJkを追う男。
ここに来て、「恐ろしい目に遭っても懲りないヤバい性癖の男がより酷い目に遭う展開か?」と思い直す。
しかし、男サイドと開発者サイドの両方を見るうちに、男の事情が分かり、「こんなことってないだろ……この男はどうなるのだろうか……助かってくれ……」と祈るような気持ちにシフトする。
男は推測によって事実がねじ曲げられること(以降噂と表現)でより深い苦しみに叩き込まれるが、このゲーム自体がプレイヤーをそのように誘導する作りになっており、まんまと誘導された人の心があるプレイヤーは男を苦しめた人々と自身が重なって何とも言えない気持ちになるのではなかろうか。自分はなった。なったがために刺さった。加害性に気付かされる。
それだけに、噂に惑わされずに彼を助けようとする開発者側の熱さを心強く思った。罪悪感も和らいだ。
ふざけたネーミングセンスやユーモアのある台詞回しもあったことも、落ち込み過ぎずに遊べたポイントになっている。本当にバランスがよい。
シリアス展開を打破しようとする鬼熱場面で発生する「発言者に笑かす気は全くないのに絶妙にふざけて感じる台詞」がままあり、不謹慎ながら笑ってしまった(これは作者の意図に反しているかもしれない)。
あと、感度3000倍はシンプルに笑ってしまった。バグの原因も含めて開発者側の狂い感がじわじわ染み出ているのがよい。
開発者サイドはとにかく熱い。人情に篤いし、展開も熱い。ハラハラしながらも「絶対に救うぞ」と高いモチベーションで遊べる。ただただ「いい奴」なのではなく、彼にとっては切実なんだろう理由によって突き動かされている感じがよい。人情を強く感じる。
最後の写真については、仮想空間は仮想空間なんだよなという切なさとともに、しかし2人の表情は中の人の表情であることにグッときた。
映画を観たような気持ちになる素敵なゲームでした。
的外れな感想だったらすみません。
本当にありがとうございました。
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